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だめだ。やっぱ好きだ。
自分が真っ赤になってんのがわかった。
昔っから、和真のことだけは気になって仕方なくて、ちょっかいばっかかけてた。他の友達には、涼太は面倒見がいいなんて言われたけど、そんなんじゃない。和真が無口で、クラスの隅でひっそりしてたから、親切心で気にかけてたわけじゃない。
俺にはずっと、和真は別だった。
和真と話すと、ほんのちょっとの会話でもすごく楽しかった。そのまま中学になって、俺は同じクラスになれるように毎年祈りに祈りまくった。同じ高校を選んだのも和真が行くって言うから、やる気もなかった勉強をして強引に入学した。
お前ら腐れ縁だな、って周りは言う。俺はへらへら笑ってる。その腐れ縁を繋げるのに、俺がどんなに必死だったかを知ってるのは、弟の瑞樹ぐらいだ。
兄ちゃんは一途すぎて気持ち悪いっていいながら、和真もあんだけ美人に育つとはね、ってしたり顔で言う。あいつは俺より先に俺の本音を見抜いてたみたいで、思えば昔から絶妙なタイミングで頑張れって言ってくるから侮れない。
俺は深く深呼吸した。
和真にとっては俺はたぶん、友達ってだけかもしんない。幼馴染って特別感がせいぜいの、同級生ってポジションだ。俺もそういうふうに横並びの気持ちのフリでいようと思ってた。
でももう駄目だ。
俺はベッドに手をついて、和真に顔を近づけた。じわじわ近づいて息を止めて、すこしぽってりしてる唇にそっと自分のを押しあてた。
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