14.夏の気配……涼太

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 俺は、自分の出生の関係で、小さい頃から決めてたことがある。  一生、結婚はしない。  俺の遺伝子をこの世界に残したくないんだ。だから世間一般的な人生のルートを歩む気はさらさらなかった。生まれた時の経緯からすでに、常識から逸脱しているわけだから、俺自身が納得できる生き方をすればそれでいい、って思ってた。  でも、生涯にただ一人。たった一人でいいから、好きだと思える人が欲しい。  風来坊になって地球のあちこちを彷徨っていても、この先、年をとってその世間的な幸せという奴が、痛いくらい眩しく目に映るようになったとしても、年老いてどこかの片隅で野垂れ死ぬはめになっても、心の中に本当に好きだと思える誰かがいれば、俺は決して寂しくなんてならない。  人は本当は、絶対的に一人だろう?  普段は忘れてるだけで、生きるも死ぬも、その運命は俺自身がどうにかするしかない。  だけど、その孤独を突き付けられる局面が訪れた時、そんなとき、その人を思い描けば、闇に灯りをともしたように救われる。  そういう存在が切実に必要だった。  俺にとって、それが和真だ。  あの夏の庭から、俺は、そう決めたんだ。
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