15.ふたたびの夏の庭……和真

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15.ふたたびの夏の庭……和真

 講堂を出ると夕暮れにさしかかっていて、俺は色鮮やかな空に見惚れた。  白い研究室の壁に囲まれていたから、灰色の雲と、その隙間からオレンジに染まった夕焼けが目に眩しい。  大学生になってまだ数か月。新しい生活リズムにはやっと慣れてきたけど、学内に涼太がいないことに、まだ慣れないでいる。  小学校の半ばから高校まで一緒だったから、俺にとって涼太はそこにいるのが常だった。 俺は改めて、その時間の長さを思い知る。思えば十八年のうちのその半分を涼太と一緒に過ごした。何かにつけその存在が浮かび上がってきても当然なのかもしれない。 「和真! お疲れ。帰りか?」  ぼんやりしていたら、後ろから声をかけられた。振り返ると、手をひらひらさせて、洸が立っていた。 「ああ、委員長。そっちも終わり?」 「もう朝からみっちり……やっと終わったよ。それはともかく、もう俺、委員長じゃないんだけど」  洸は首をボキボキ鳴らした。学部は違うけど、春から同じ大学に通ってる。だからこんな風に学内でもちょくちょく会って、よく話をする。  高校時代の正義感はあいも変わらず、洸は大学でもあれこれと雑用係を引き受けて、忙しそうだった。そのうえ、俺の心配までしてくれる。本当に、根っから面倒見がいい。 「だって委員長って呼んだ方がイメージかなって。じゃあ……洸」
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