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「どうしてそんな大げさな事になってるんだよ、もう……」
俺は溜息をついた。
俺とは逆に、涼太は深刻そうな顔で好きだって言った時とは別人みたいにすっきりしてる。でも言われた方はそう簡単に気持ちの整理がつく訳がない。むしろ俺はさっきからずっとどんな顔をすればいいのかわからないでいる。
「いいじゃん。和真が具合悪いって言ったら、ちゃんと看病しろって言われたぜ? いっつも世話かけてるんだからたまには役にたってこいって」
さすがこの涼太を育成した家庭だけあっておおらかな家庭だ。あの家でしっかり者の気概を感じるのは弟の瑞樹ぐらいしかいない。
「瑞樹、塾でしょ。届けモノなんかさせて迷惑じゃない」
「いいんだよ、むしろ瑞樹は一緒に泊まりたそうなぐらいだよ。頑張れって気合入れられたし」
なんでだ。
俺が口には出さずともその疑問をありありと顔に浮かべたせいか、涼太はいきなり話題を変えた。
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