3 秋の部屋……和真

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「それよりさ、おなか減らない? いろいろおかずあるよ」 「動いてないし、食べなくていいよ」 今度は涼太が、これみよがしに溜息をついた。 「ほーら、そんな調子だから俺がいた方がいいんだよ。お前、また倒れるぞ。三日も寝込んでるくせに、全然頼って来ないなんて俺、ちょっと傷ついたかんな」 「だからどうして」  何の気なしに言ったのに、涼太は初めて立ち上がって俺に近づいた。  ごん、と俺の胸に頭突きする。 「わかんないふり、わざと? 理由、さっき言ったじゃん」 「……」  涼太の手が俺の腰に巻き付いた。どきりとする。  ――――――――――――あの庭に全部おいてきたはずじゃなかったのか。  俺たちは何もなかったように学校に行き、普通に振る舞い、多少の親し過ぎる様子も幼馴染の一言で誤魔化してきた。  息が苦しくなる。  恐れていたことを見抜かれたようで焦りながら呼吸を整える。 「勝手な事はしないよ。てか、和真がその気になるまでは」  涼太は下を向いたまま言った。  俺はツッコミたいのを堪えた。さっきのキスをどう言い訳するつもりだろう。 「でも俺、またしたいんだ、って言ったら、どうする?」  どうする?  俺は頭に響いたその声が、自分の中で幾重にも反響しているのを感じた。
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