874人が本棚に入れています
本棚に追加
お前、馬鹿じゃないの? 嫌なんだ、こういうの。一人にしてよ。
俺の言い方はすごく冷たかったから、気の弱い子だったら泣いたと思う。でも涼太は真顔になって、俺、お前と遊びたいだけなんだ、と言った。
俺は逃げるようにして、涼太を置き去りにして走った。でも、その翌日も、翌々日も、涼太は変わらず俺の隣にいた。クラスメイトと変な賭けでもしてるのかと思ったけど、そういう訳でもなかった。むしろ他の子も涼太の熱心さに驚いていた。
困った事になったと思ったが、涼太が俺の傍にいるせいで涼太の友達も必然的に俺の周りにいるようになり、涼太が何かと俺を巻き込むため、俺も仕方なく会話に加わり、一か月もしないうちに、学校での俺の定位置が涼太とセットになっていた。
和真、聞いてよ!
涼太は何でも俺に一番に報告にくる。
それも当たり前になって、それを冷静に受け流す俺に友達がツッコミを入れる。そういう輪ができあがって、俺もいつの間にか涼太を名前で呼んでいた。
まっすぐなのか強引なだけか。
涼太の全面的な好意が俺には意味づけできなかった。
一人になりたい気分の時もあったけど、逆に一人でいれば涼太のことが気になった。常に一定の温度を保とうとする俺とは逆で、涼太の喜怒哀楽はいつもの自然のまま上がったり下がったりを繰り返す。それを見ているだけでも面白かった。
最初のコメントを投稿しよう!