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俺はいつもの余裕が散り散りになっていくのを感じていた。ジーンズのジッパーが降ろされる。広がったフロント部分にすかさず涼太の手が滑り込む。
「ちょっ、もうほんとにこれ以上は」
「したいんだ」
昔、俺と遊びたいんだ、と言った時と同じ真顔で、涼太はぐいっと手を差し込んだ。
不意をつかれて、あ、んっ、って女みたいな声が出る。俺は羞恥で血がのぼるのを感じた。
涼太も俺もいつもの感じじゃない。涼太はガキで、俺が諫める方で、二人は均等か、もしくは俺が優位だったはずなのに、こんな風に圧倒されるのは違う。
もがくと土埃が立った。
俺は抵抗して足をばたつかせた。素足に石の粒が痛い。
涼太は唇に深くキスをしたまま俺の腰を抱えて、不器用にジーンズを膝まで降ろした。剥き出しの太腿が草にあたる。俺はキスから逃れようと激しく頭を左右に振った。
「和真はいつまでたっても気付かない」
涼太はまた訳のわからないことを呟いた。言いながら、膝の裏を掴まれ、太腿が胸につくほど足を躰に押し付けられた。
「苦しいって……も、う」
「俺も限界」
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