874人が本棚に入れています
本棚に追加
「かずま、かずま」
「も、やめ、ん、んんんっ」
意味のない名前の連呼は、その激しい動きに連動していて、突き上げられるたびに腰が反った。
涼太は切なそうに俺を見下ろしていた。その顔は、尖った輪郭と汗で濡れた前髪に縁どられて、ひどく大人びてみえた。涼太は俺の頬に手をあてて、確かめるように包み込んだ。
「好きだ」
前のめりになって囁く声は、子供なのか大人なのか。
回した腕をはずせない俺は、嫌なのか求めてるのか。
夢か現実か。
全部がぐちゃぐちゃに混じり合う。
涼太の後ろから突き刺すような日差しが眩しかった。
「……終わったら、すぐに帰れ」
俺はそうやくそれだけ言うと、目を閉じた。
頭の奥からうねるような眩暈が押し寄せてくる。その波に救いを求めて意識を委ねると、そのまま陽炎にみたいに世界が揺らいで、気が遠くなった。
最初のコメントを投稿しよう!