4.冬の町……和真

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「ねえ兄ちゃん、真面目にやってる?」 「んー、さすがに落第はまずいと思ってるみたいだけど、相変わらずどっか適当」 「やっぱね」  瑞樹は頬づえをつくと、テーブルの一点を凝視した。数秒の沈黙のあと、思い切ったように口を開く。 「あのさ」 俺は参考書から顔を上げた。声の響きがいつになく真剣だったからだ。 「涼太と俺、似てないって思ったことない?」  何を言ってるのかわからなかった。 「和真、転校生だし、親関係の交流もあんまなさそうだから、たぶん知らないよね。涼太がもらいっこだって」  喉が張り付いたように黙りこんだ俺に、瑞樹は理解を促すように頷いてみせた。 「うち、ずっと子供ができなくて、でもどうしても欲しくて施設から涼太をもらい受けたんだって。だから当時ここら辺にいた人はみんな知ってる。急に赤ん坊が来たんだからそりゃわかるよね。で、それで終わりならよかったんだけど、しばらくして俺が出来ちゃったんだ。まさかの大誤算」 瑞樹はばつが悪そうに肩をすくませた。全然、瑞樹はわるくなんてないのだが。 「涼太はそれを知ってから、何事にも本気だしてない――――――と、思う」
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