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手を繋いで雪道を行きながら、俺は思う。
この引力で、涼太はどこまで俺を連れて行くのだろう。
その先には、どんな世界があるんだろう、と。
俺にはまだ何も見えない。
雪が視界を塞いで、全てが白く霞んでいて。一歩一歩手さぐりで進んでいくその先は、近づいているはずなのにもはや永遠に辿りつかない気さえして。
世界が白く埋もれていくのを見つめながら、俺は自問自答する。
待っていたのは本当にバスだったのか。
さっさと家に帰りたかったのなら、バスが時間通りにこない段階で、見切って歩きだせば良かったのだ。浅野家最寄りのバス停でぼんやり待っていたのは、バスではなく、涼太だったのではないか。
その足音を聞き分けながら逃げもしなかったなんて、馬鹿なのは俺の方だ。真剣に逃げようとしていたとも思えない。
繋いだ手を離さないのは、涼太だけじゃない。
……俺だって流されたふりをしてそのまま指を絡ませている。
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