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『三人には共通の雰囲気がある。もとは他人でも、父さんと母さんには夫婦っていう繋がりが、瑞樹には間違いなくこの親の子だって共通点が。しっくりしてるだろ。けど、ここに俺が入ると浮いちゃうんだ』
『そんなことないってば!』
俺は悔しくて泣いた。
聞き分けが良くて、分別がついて、優等生の俺は駄々をこねたことなんかない。でも、涼太が家族でなくなっちゃう気がして、絶対に認めたくなかった。
涼太は小さい頃からやってたみたいに、優しく俺の頭を撫でた。
『瑞樹、俺ははっきりさせたかっただけで、父さんも母さんも瑞樹も、俺にとって何も変わんないんだよ』
『そうなの?』
『そうだよ、だから何で瑞樹が泣くのかわかんないよ』
涼太はティッシュで俺の顔をごしごし拭いた。
ああ、この雑さは確かに兄ちゃんだ。また元の生活が帰ってきて、仲良し家族でいられる。
俺は安心した。
……だけど油断しなかった。
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