1.夏の庭 ……涼太

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「内緒だよ」 「なんで?」 「今ならまだ、単なる思い付きとか偶然とかで済ませられるからだよ。夏休みのお遊びの範疇って言ってもいい」 和真は大人びた眼差しで俺をみると、ね、と言わんばかりに首をかしげた。 「えー、何だよもう、いつもの適当とこれは違うよ!」 「はいはい」 和真は目を伏せて、軽い返事をした。  肘やシャツについた泥を払い、そのまま立ち上ろうとする。和真はこのまま行ってしまって、さっきのも全部帳消しにするつもりだろう。  そんなに簡単になかったことにしないで欲しい。  俺はふざけたわけじゃない。  もどかしくて声が大きくなった。 「はい、じゃないよ。和真、わかってない!」 「涼太? え?」 俺は全然本気にしてくれない、というか本気じゃなかったことにして流してしまおうとする和真に苛立って、両肩を掴んで動けなくして、今度こそ深く口付けた。 「りょ、」  あれ?  まだそんなつもりじゃなかったんだけど。  そうじゃないんだけど、あれ?  そこで、途切れる。  きらきらした庭と、ちくちく刺さる草と、近すぎる土の匂いと。  和真の途切れ途切れの息遣いと、俺の汗と。  ―――――――――――すべてが、緑の庭に埋もれてく。
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