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和真の夏は、学校に夏期講習で出かける以外、ひたすら自宅で学習っていう勉強漬けの状態で、俺は会いたくなるともはや家に押しかけるしかなかった。
でも今までと違うのは拒絶されなかったことだ。
家に入ることも、そのまま欲望を押し付けることも、和真はぎこちなく受け止める。
その癖は夏休みが終わっても続いていて、一緒に学校から帰ると時折、和真の家になだれこむ。
こうなってみて、クラスが違うのが、本当にイタい。春にやっとの思いで気持ちが通じて以来、俺は和真が欲しくて仕方ない。
和真はすぐに悪戯したがる俺から逃れて、無理やり上半身を起こした。白い背中にうかんだ背骨のラインが艶めかしくて、その溝に唇を当てたくなる。
「もう、行くだろ?」
「どうしようかな」
俺は首を捻って、窓を見た。
俺は視力はいい。カーテンの隙間に目を凝らすと、かなりの雨量だった。そういえば今夜は一時強い通り雨がくるってニュースで言っていた。
「もうちょっと待ってる。雨、止むまで」
「まあ、これじゃ仕方ないか」
和真はもう一度横になった。俺もすっかりのんびりした気分で、和真を引き寄せる。
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