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俺は指でグラフを抑えて例題の計算式との関連を説明した。隣でくっついて話をしていたから、頷くたびに和真のちょっと長い髪の毛が触れる。塾の先生の受け売りだけど、和真は真剣に聞いていた。説明が途切れたところで和真は台の代わりにしていた参考書を閉じた。
「さっき見た問題集の応用問題に似てるかな。ちょっといい?」
和真は本棚に手を伸ばした。上段の背表紙に向けて身体を逸らしたと思ったら、急に動きを止めて本棚にもたれかかった。ぎゅっと目をつぶってやり過ごそうとしてたけど、肩から上がふらっと揺らいだ。
「和真? どうした」
俺は血相を変えて近寄ると、ずるずるとしゃがみ込んでいく和真の両肩を押さえた。和真の額にうっすら汗が浮かんでる。そのまま俺に向かって前のめりになったので抱き止めた。
「大丈夫か」
「………貧血っぽい。最近よく寝れなくて調子が……でも、眩暈だけだから」
和真は目線が定まらないまま、俺のコートの袖を掴んだ。
本を置いたら帰るつもりだったから、俺は地厚のコートを着ている。和真の細い指がその生地を掴まえきれずに震えていた。血の色が透けるような首筋の青白さに、俺の方が動揺する。
「保健室行くか?」
「いい。じっとしてれば落ち着く」
俺はコートを脱いで床にしいた。崩れるように力の入らない和真を、その場に寝かせる。
「ちょっと横になれ」
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