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「浅野。お前、いつまで適当にしてるつもりだよ」
俺の剣呑な雰囲気に、涼太は鼻白んだ。
只ならぬ気配に和真が息を呑む。だけど、一度口にした以上、俺も引く気はなかった。
涼太は怒気孕んで腕組みした俺を、探るように一瞥した。
「何怒ってんの、委員長」
俺は大きく息を吸い込んだ。溜まっていた鬱憤を抑えきれなかった。
「お前のそういうチャラチャラしたところ、本当に腹が立つんだよ。何でも適当で、やりたいようにやって、それで上手くいくなんて甘く考えてるところが」
「へえ、委員長が俺に腹を立てるのは、和真のせいじゃないの」
涼太は薄く笑ったまま、俺を睨み返した。
いつもの顔で、いつもの笑顔なのに、別人みたいにみえた。和真は俺と涼太との間で体を固くしている。
「ああ、そうだ。進路もまともに考えてないお前が、真剣にやってる和真の邪魔になるって思わないのか」
「邪魔だったら和真は自分でそう言うよ。それに俺の進路が委員長に何の関わりがあるわけ? それともこういう余計な口を挟むのもクラス委員の役目だと思ってる?」
「役目じゃない、黙ってられないだけだ」
「ふーん、委員長は凄いね。俺の進路も和真の進路も全部知ってる。ストーカーなの、あんた?」
「なんだと?」
「人の詮索してるヒマがあるんならさっさと家に帰って勉強でもしてろよ。さぞかし立派な大学に行くんだろ」
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