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涼太は明らかに敵意をむき出しにした。
俺もそうだった。俺たちはお互いに、普段教室では見せたこともないような攻撃的な態度でぶつかりあっていた。
「受かる見込みもないくせに、おざなりに大学名を書いてるだけのお前に何がわかるんだ。いっぱしの口をきくんなら、まともに大学の一つも受かってみせろよ」
「俺はもともと進学する気なんかない」
思わず漏らした涼太の言葉に、隣の和真が息を呑んだ。
俺も驚いた。この進学校にきてそれはない。だいたい、こいつは旧家の長男で、当然、家の方でもそれが期待されているだろうに。どうりで進路指導室に呼ばれるわけだ。
「……する気がないんじゃなくて、できないんだろ」
俺は冷ややかに突き放した。
「なんだと?」
「お前が真剣に何かをやってるところなんか見たことがない。ただ逃げてるだけじゃないのか。そんなんで和真に釣り合うわけがない。幼馴染ってだけで、和真の親友面するな」
「だからそれを決めるのだって和真と俺なんだよ。関係ないだろ、委員長は」
涼太もイライラしてどんどん早口になる。
「ある。こんな状態の和真を知って放っておけるか」
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