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俺も耳を疑った。もう秋も終わる。受験勉強するにしても、もはや仕上げの時期だ。
こいつは本当に馬鹿なのか、とんでもないお調子者なのかさっぱりわからない。
「本気を証明すればいいんだろ。やってやるよ。大学に受かりさえすればあんただけじゃなく、みんな納得するんだろうからな。だけど委員長」
「なんだよ」
「俺が受かったら二度と余計な口出しすんな。いいな」
涼太はぎらついた目で俺を睨んだ。この大言壮語に俺は一気に頭に血が上った。思わず涼太の胸倉をつかみそうになったその時、和真が叫んだ。
「いい加減にしてくれないか!」
和真は一瞬、唇を噛み、俺たちを睨み据えた。
「うんざりだよ。俺にはもう何がなんだかわからないよ。俺のことを考えてるようで、二人とも自分のことばっかりじゃないか。俺の気持ちなんか無視だ。勝手だろ。もう放っといてくれ」
和真は言いながら立ち上がり、荷物を掻き集めた。
俺は息を詰めて、強い拒絶を示す和真の横顔に釘付けになっていた。青ざめた顔に怒りが滲み、強い感情を押し殺した眼差しは、裸のダイヤみたいに光を放っている。俺は物静かな和真の、初めて見た内側の激しさを目の当たりにして何も言えないでいる。
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