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あれから二日が経ち、榊田さんによる褒美の効力なのか、やたらと仕事に精が出る私。
どんな仕事も進んでやるようになったし、早く企画部の人たちの力になりたいと必死で勉強している。
なんて単純女。
まさかこんな私の性質を見抜いてのキス?
恐ろしや、榊田蒼!
そんな罪深い男である彼は、やっぱりいつも忙しいらしく、姿を見ることはほとんどない。
たまにオフィスを横切り、自分の部屋へと入っていくけれど、目が合うなんてことは一度もない。
私の存在、まるで眼中になし!
自分の家に泊めて、キスもしたっていうのに、薄情な男だ。
彼にとってはこんなこと、取るに足らないことなんだろうな。
キスなんて挨拶程度に思ってるのかな?
家に泊める女も、日替わりで違うとか、そんなかんじなんだろうなぁ。
ため息を吐きながらサービスカウンターに向かう。
それでも榊田さん宛ての配達物届いてないかな、なんて思ってしまうんだから、私は相当馬鹿な女だ。
でもこの気持ちはきっと恋じゃない。
これはあれだ、ミーハー心というやつで、憧れの芸能人にハイタッチされたみたいな、そんなかんじだ。
でも、キスとハイタッチはだいぶ違うような……。
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