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全社企画会議 #2
身を乗り出して、捨てられた企画書を見つめて抗議すると、
「企画を通すとは一言も言ってないだろうが。アホか」
呆れた声が返ってきたのだった。
「私の企画はいつになったら実現するんですか……」
肩を落としてしょんぼりと呟く。
毎回、この企画が実現して世に出たら……と妄想して心を躍らせているのに、私の夢の塊はいつもゴミ箱行き。
「そこでだ、毎年恒例の一大企画会議が三か月後にある。
その会議に参加するのは全社員で、企画を上げるのはエルニカに所属する者なら誰でもいい。
部署も肩書も問わず、採用が決定されるのは、全社員による投票によって決まる。
過去にはバイトの案が採用されたこともある誰にでも平等な企画会議だ。
それに……挑戦してみろ」
胸がさざ波のようにざわついた。
嫌なざわつきじゃなく、ワクワクすることが押し寄せてくるような、そんなさざ波。
「私が……出てもいいんですか?」
「もちろん、出るのは誰だって自由だ。
だが、思っている以上にレベルは高いぞ。
皆、この企画会議のために一年かけて準備している。
応募がかなりの数あるから、事前に絞って発表できるのは十人だけだ。
どんなにアイディアが良くても実際に作れるような企画じゃないと意味がないからな」
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