会いたいよ

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食べ終えて、二杯目のコーヒーを飲みながらゆっくりしていると、榊田さんは何かを思い出した様子で席を立った。  そして手に何かを持って戻って来た。 「やる」とぶっきら棒に言われて差し出されたものを見ると、マンションの部屋のカードキーだった。 「え……?」  目を見開いて榊田さんを見上げると、 「暗証番号は俺の社員番号と一緒だ。お前の家は遠いからな。 仕事で遅くなった時とか……いや、遅くならなくてもいい、気が向いた時に来い」 「い、いいんですか?」  恐る恐る受け取る。 「嫌なら渡さない」  平然とした口調だけど、顔は私の視線を避けるように横を向いているので、少し照れている様子だった。  遅くならなくてもいい、気が向いた時に来い、だなんて頻繁に来てほしいと言われてるみたいで嬉しい。 あ、もしかして、みたいじゃなくて本当にそう思ってるのかな?  榊田さんって愛情表現をストレートに言うの苦手みたいだし、なんか照れてるし、そうかもしれない! やだ、嬉しい! 「こんなの貰ったら、住みついちゃいますよ!」  おどけて言うと、 「別にいいんじゃないか?」  とサラっと言われた。 マジですか!? 恋人になった途端に半同棲!?
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