その先に何を見るのか(仮)

「そういうのは人数の多い文化祭実行委員会にでも」

「生徒会長が部長をご指名なんですよー。メインの撮影と編集を2-Cの柳本にって」

　生徒会長。
　呆れるのも憤慨するのも馬鹿馬鹿しい。そうは思うものの、過去の激情の片鱗がせりあがってくる気がして、僕は天井を仰ぎ見る。
　僕のことなんて忘れたか忘れようとしてるとばかり思っていたけれど、生徒会長サマは懲りない人らしかった。
　いや、油断していた僕も僕だ。高校に入ってからは人をメインとした作品は撮らなかった。せいぜいアテレコしたり、目やら指先やらを撮したくらいだ。それならきっと僕の作品なんかに興味をもつやつなんていない。そうたかをくくっていた。
　そうでなくとも自撮り好きの女子連中の方が人の顔の撮しかたなんてよく知っている。好きこそものの上手なれというやつを僕はさほど信じちゃいないが、その人のスペックをフル活用できるのは好きなことをしている時だ。人を映すのが好きじゃない僕は人を映すのには向かない。学校のイベントのPRで求められるのは生徒の笑顔に違いないだろうに。