アルマジェミア

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アルマジェミア

誕生日が近くなり、仕事の休みが取れるときには京都に行く。 住んでいたことはないけれど、自分の生まれた町。 駅に降り立つと、なぜか「帰ってきた」という気持ちになる。 そんな大好きな町で、彼女に出会ったのはもう何年も前。 SNSで知り合ってやり取りをする内に親しくなり 関西に住む彼女と会うことになった。 私は見た目と中身の印象が違うらしく、よくおとなしい人と誤解されがちなのだが 彼女とは私がSNSに書く文章という中身の方が先に出会っているせいか 違和感がない。 初めて会ったような気もしなくて、会うなりハグをして。 カフェや公園に河岸を変えて何時間も話をした。 「初めは言葉遣いが丁寧な男の人かと思った」 と彼女は私に対しての第一印象を述べる。 男に生まれたかった、とかねがね思っていた私にとっては嬉しい言葉だった。 文章に女性特有の甘さがにじみ出ていないのなら褒め言葉である。 私も彼女も、性格はどこかサバサバしていて 見た目にそぐわず男勝りなところもあり そんなところも気が合う理由なのかもしれない。 今の時代に自分たちの生き方は合わないと思うこともあり お互い男だったら良かったのかもねと言い合うこともある。 でも今の人生に、思うことはあれど不満はなく、精一杯生きているつもり。 まるで双子のように、同じタイミングで同じことを考えたり 同じような目にあったりする不思議な友達だ。 誕生日になると、贈り物をし合う。 今年の彼女からのバースデーカードには、こう書かれてあった。 "生まれる時代をまちがえたかもしれないと時々思うけれど、 別々の場所に居るのに同じことを思い考えている、 君がこの時代にいる。 多分、どの時代でもどんな形であろうと出会ってきているのだろうと思うのです。" 特定な宗教を信じてはいないし、信心深い方でもない。 運命とか神様とか、自分の都合の良い時にしか願わない。 前生とか生まれ変わりとか、あの世とか。 そういうことも『自分にはよくわからないもの』という認識しかない。 それでも、なんとなくすとんと腑に落ちる。 なぜだかずっと前から知っているような。 自分自身のように信じられるような。 一人じゃないと思えることが、こんなにも心強い。 不思議な友達。
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