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青時雨
朝、愛犬を連れて散歩に出る。
本当はジョギングを兼ねたいところなのだが、
好奇心旺盛な彼はあちらこちらで立ち止まり、引き返し、
かと思えば走り出すのであまりうまくはいかない。
早い時間なので、同じく犬の散歩やジョギングをしている人が数人
ほとんど人はいない。
せっかくなので気持ちの良さそうな道を選んで歩く。
川沿いや公園の近く。緑が多いところは空気が違う。
すっきりと晴れているときももちろん気持ち良いけれど
雨上がりの曇り空のときもまた気持ち良い。
空気が雨で洗われてすっきりしているように感じるし、
水分が空気中に残っているようで少ししっとりもしている。
植木にかかった蜘蛛の巣に水滴がびっしりとついて
まるでそうした芸術作品のようにきらきらと朝日に輝いている。
木々の下を通ると、時折ぽたりと葉先から雫が落ちる。
昨夜降った雨が葉に受け止められ、時間差でぽたりぽたりと
風や重力で落ちてくる。
緑の匂いや土の匂いが強く感じられ
深く呼吸をすると、滲みてくるような気がする。
時間はまだあり、足元では愛犬が楽しそうに歩いており、
今日は一日晴れそうだ。
なにか意味もなくやる気がわいてくるような、朝の幸せなひとときである。
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