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「あ、坊、見ろよ、この記事。若い女の子が十か所以上も刺されて死亡だってさ。可哀相に……。あらら、犯人はまだ捕まっていないようだ……。ひどい事件が起こるようになったもんだ。」
藤宮さんは、うーんと唸って首を傾げた。
新聞記事には、大きな見出しの下に、被害者の女の子の写真が載っていた。高校の学生証に使う写真だろうか。セーラー服を着た女の子がにっこりと微笑んでいた。
こんな風に思うのは不謹慎かもしれないが、女の子はとても美人で、男子ウケがよさそうな雰囲気をまとわせていた。大きな瞳のすぐ下にある涙ぼくろが僕には魅力的に見えた。
「こんな女の子を十数か所も刺すのは異常だよ。」
「たしかになあ。こんなんじゃこの子も死にきれないよな。こういう子が成仏できなくて幽霊になっちまうのかもしれない。なにより、美人だし」
「美人って。幽霊に顔関係あるの?」
「そりゃああるさ。幽霊ってのは美人か落ち武者だって相場が決まってる」
そんなことはないと思いつつも反論しても無駄だろうので、幽霊の話はこれ以上続けないことにする。
「それで、犯人は捕まったの?」
僕はおじさんに尋ねた。
「この記事には、犯人についての情報は一切書かれていないから、捕まってないんだろうな。犯人ねぇ……。ストーカーの線も考えられるが、別れた彼氏の可能性もあるな。もしくはその両方、別れた彼氏がストーカー化した……うん、これだな」
犯人がいまだに捕まっていないことに少し驚いたが、日本の警察は殺人事件に関しては特に優秀らしいし、犯人が捕まるのも時間の問題だろうと思った。
「ストーカー化した元彼かあ。当たっているといいね、おじさんの推理」
「まったく、今どきの若者っていうのは、一度火が付いたら何をしでかすかわからんもんだ。ゲーム世代って言うのか?若いやつらの中には、殺人ゲームのやりすぎで、現実と区別ができなくなっちまう奴が出てくる。そういう奴らがこういう異常な事件を起こすんだ」
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