俺の主(長嶺翔視点)

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俺の主(長嶺翔視点)

子供の頃、俺には絶対に守りたい相手が存在していた。 俺の主であり、大切な方。 しかし俺は自分の不注意で怪我をしてあの方に会えなかった。 …怪我が直った時には、俺の前から姿を消していた。 母親に引き取られたと俺の母に聞いたが、さすがに何処にいるかまでは分からない。 遠くに引っ越したのか、近くにいるのかさえ分かれば楽なのだが… 佐助様…貴方は今何処にいらっしゃるのですか? 佐助様の形ある思い出は最後に出会った時の傷だけだ。 巻かれた包帯の上から腕を握る。 成長すると同時に傷が薄れていき、佐助様そのものが消えてしまいそうだと恐怖して傷を上書きしようとナイフを持ったところで両親に止められた。 心配かけるわけにはいかないから傷つけるのをやめた。 ただ、包帯だけはそのままに…佐助様を失いたくない。 佐助様がいなくなった時から俺の主は佐助様の義弟の統乃様となった。 …とはいえ、統乃様は一人で何でもこなせて執事は不要と考えた。 統乃様の女遊びを止めるだけの役割のようなものだ。 それに俺の主は支倉と関係がなくても佐助様ただ一人だ。 高校に上がり、有栖院学園に入学した。 支倉家の執事として他のものに負けない実力を見せつけるために… だから生徒会に入った、支倉家の執事なら学園のトップの生徒会長を目指すために… そして二年の時、異例の二年生生徒会長に任命された。 ここまでの道のりは険しかったが、佐助様の隣にいても恥じない男になりたいと強く願いなれた。 何処かできっと佐助様が見守ってくれてる、そう考えるだけで俺を強くさせた。 統乃様は一学年下だから、次の年やって来て早々に生徒会会計となった。 支倉家の跡取りを生徒会長にした方がいいかと悩んでいたら統乃様が「生徒会長とか面倒だから」と釘を刺された。
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