俺の主(長嶺翔視点)

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男子校だからか統乃様はとてもつまらなそうに窓を眺めている。 …誰か一人、本命がいればいいのだがその気配はない。 そして俺もとても困った事になっている。 今年で俺はこの学園を卒業する。 だからか両親がいくつかお見合いを持ってこられて苦笑いしていつもかわしている。 俺には好きな人がいると説明しても「誰だ?」「何処の娘だ」「会わせろ」と言ってくる。 何処にいるのか分かってたら苦労はしない。 それに佐助様をよく知る両親が俺の好きな人は佐助様だと言ったらどんな顔をするだろう…きっと辛い事を思い出して悲しむのだろう。 俺の両親は佐助様を我が子のように可愛がっていたから、佐助様が母親に引き取られる事を知りだらしない母親だと知っている両親は佐助様を我が家の養子にと言ったら話すのも苦になるほどの罵倒を浴びせられ佐助様は連れてかれた。 それを小さな俺に話す度に「佐助様、ごめんなさい」と謝っていた。 言わない方がいいだろうと思い黙る事にした。 言おうと決めたその時まで… それまでお見合い攻撃に耐えなければなと苦笑いする。 「統乃様、来週の社交パーティーについてご報告が」 「んー、面倒ー…翔、俺の代わりに統乃として出てよ」 「いけませんよ、この前だって突然パーティーから抜け出して…大慌てだったんですから」 大事な取引先が大勢集まるパーティーだというのに、年齢が高めな貴婦人ばかりで飽きた統乃様はトイレに行くフリをして逃げ出した。 統乃様が誰かに誘拐されたと大慌てで、結局一人で家に帰っていたと思い出したくもない出来事を思い出してしまう。 今回こそは出てもらわなきゃな。 騒がしい食堂に行くのは憂鬱だったが、生徒会を一目見ないと暴走するという厄介な親衛隊のために生徒会は食堂で昼飯を食べる、それが暗黙のルールだった。 いつものように食事を済ませ、生徒会に戻る前に教室に顔を出そうとメンバーとは反対方向を歩いた。 生徒会長特権で授業免除だが、たまに顔を出す。 生徒会長である前に、一人の生徒だから生徒会の仕事が落ち着いたら授業に出てたりする。 その前にトイレに行っとこうと近くのトイレに入る。
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