俺の主(長嶺翔視点)

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「じゃあ、新入生歓迎会は二人三脚かくれんぼでよろしいですね」 生徒会副会長の滝川がニコニコしながらそう言う。 安全面を考えるなら転倒の危険性があるが、皆やる気なく何でもいいように賛成した。 この場合俺がいつも意見を言うが、今はそんな気分ではない。 なにかあったら滝川が責任を持つみたいだから何も言わない…それに滝川の目的は分かっている。 チラッと生徒会書記とお菓子を食べて喋る生徒会補佐の進藤を見た。 進藤は佐助と違い清潔感がないもじゃもじゃ頭の根暗顔だが、意見をズバズバ言い…ちょっと人を怒らす天才のような生徒だ。 生徒会は前まで補佐はいなかったが、進藤が転校してきて案内を任せていた滝川がいきなり生徒会メンバーに入れようと言ってきていた。 もう役職は埋まってるから無理だと断ったら生徒会補佐になればいいと言ってきた。 一人増えたら仕事が減ると統乃様は賛成して、生徒会書記は…もう既に進藤に落ちていて賛成していた。 もう何も言うまいと俺は好きにしろと滝川に言った。 実際仕事が減ったかと言うと否だ。 …生徒会補佐は生徒会メンバーを応援するだけでいいとふざけた事を言う滝川に素直に従う進藤。 頭が痛くなってきた。 仕事が減るどころか一人分増えたから統乃様はどんどん進藤が嫌いになっていった。 進藤は滝川をどう思ってるか知らないが、滝川は自分に惚れてると思っているみたいだ。 そんな滝川は二人三脚鬼ごっこを進藤と走る気なのだろう。 確かに一人余るから生徒会同士でやった方がいいだろう。 滝川は進藤に近付く、お得意の王子様スマイルというやつで……俺にはよく分からない。 「ねぇ涼志、誰と二人三脚したい?勿論…」 「俺、翔とやる!」
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