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九月一日。
今日は僕が寝坊してしまったので、お弁当は妻が作ってくれていました。僕が起きてキッチンにいる妻に一言謝りに行くと、妻はまだ小さい子供をおんぶしながらお弁当を作っていました。
「おはよう。ごめんね、寝坊したっ」と、寝ている子供を起こしてしまわないように小声で妻に言いました。「おはよう。大丈夫だよ。朝ご飯もじきに出来るから顔洗ってきてね」と笑って許してくれる妻には、感謝の言葉しか浮かびません。
でも一言だけいいですか? きみが今作ってるおかずおんぶしてる子供のよだれが垂れてますけど? 妻は全く気付いてないので、僕は子供のよだれが混ざったおかずの入っているお弁当を食べるんだ、と今日のお昼を思い、ちょっと目を遠くに向けました。
その日のお弁当をいざ食べてみると、よだれの味はさすがに分からなかったけど、何だかいつもより美味しいとは思えなくて、せっかく僕の代わりに妻が作ってくれたお弁当なのに、と申し訳ない気持ちになりました。ちなみにお弁当自体はきちんと完食しましたよ。
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