本屋さんと出張料理

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本屋さんと出張料理

 そろそろ夏の暑さも涼む頃、何の気なしに海外馬券を購入した本屋さんは見事に予想を的中させた。日本馬は残念ながら敗北したが、そのおかげで配当は大きい。  約百万のあぶく銭をつかんだ本屋さんはせっかくなのでおいしい物でも食べようかと思い、近所の鰻屋に相談した。 「───パーティ向けの出前をやっている店でオススメってありますか?」  鰻屋の主人は「なんだったらウチが人数分用意するか」とは答えたが、たまには別のモノがいいと考えた本屋さんは夕飯だけ注文してお茶を濁す。  その代わりに勧められたのはとあるフリーの料理人、いわゆる渡職人だった。家に呼んで出張料理を振る舞ってもらったらどうかという提案である。  それから翌週の日曜日、人魚書店には多くの人が集まった。  今回のパーティはビギナーズラックおめでとうという本当の目的は隠して人魚書店の慰安パーティという形で取り仕切られることになった。  そのため定期的に仕事を依頼しているヒカルは呼んでいたのだが、くれはら同人関係の知人はいない。彼らは彼らでたまに押しかけてくるのでわざわざ呼ぶことはないだろうと読子は判断していた。 「壊神と申します」     
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