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「カニ汁はだいぶ濃いめに作ってあるのですが、これには理由があるのです。だいぶ飲まれているので熱いのを汲み足して、そこにこの冷や麦を入れてすすってみてください」
「どれどれ……!!!」
壊神に勧められたカニ汁素麺を口に入れると読子は余計に発情した。カニと味噌だけなら上品な旨さなのだが、そこに素麺が足されると不思議とジャンクな味わいに変わったからだ。
上品な食欲は満たされていたが上品すぎるが故に満ちていなかったジャンクな食欲がこのカニ汁素麺で一気に満ちる。
「美味しいです。まるで味噌ラーメンみたい」
「ははは、その通りです。麺こそ食べやすいように冷や麦にしましたが殆ど味噌ラーメンと同じですよ。決め手は茹でた麺にまぶした七味、ミックススパイスが味を引き締めることでラーメンっぽさがグッと引き立つんですよ」
「これって私でも作れますかね?」
「あとでレシピを送りますよ」
この日のパーティは最後に行われた清酒美少年飲み比べ対決 (参加者一名)を持ってお開きになった。
酔いつぶれた読子を放ってバイトの子たちは帰宅して、壊神も程々のところで立ち去る。
酔いつぶれた微睡みの中で読子は「胃袋をつかむイケメンっていいなあ」と浮気心に自己陶酔し、それを第六感で察したこの場にはいない阿澄は身を振るわせた。
「先輩、急にどうしたのですか?」
「急な悪寒がして。でも大丈夫よ」
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