エピローグ

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 カイは調理士学校を、来年は卒業するだろう。都会暮らしで生活を崩し、一時は危ぶまれたが、ライとルイが怒りの鉄拳を加えてから立ち直った。  サイは、入学が遅れた為、いまだ大学生だ。弁護士を目指している。他に特筆することはなし。  ──こうして…村を離れても、ふつうに生活している。それぞれが、それぞれにできることをする、生き方で。  外に出ても…ふつうの人間じゃない…! ということには、いまのところ、なっていない。  が、ふと、思う。  結局、自分の、自分たちの血筋は、何だったのだろう。何を伝えてきたのだろう?  何を…伝えたかったのだろうか。  ふつうの人間とは異なる性質……男だけが生まれる血筋にし、その男の体の特異なものにしてまで、生き残ろうとした理由は、何だろう?  大昔から、生きることに干渉する何者かがいて…それに刃向って生き残る者たちがいた──そんな歴史が、自分たちの中に埋もれているのかもしれない。  だとしたら──これから、何を伝えていけばいいのだろう。  それも、自分の中にある、ぬくもりを頼りに、決めていけばいい…  そう、何処からか、聞こえてくる気がする。 「あぁ…いよいよ太陽が昇る」  夜からたなびいていた雲が切れ、オレンジの塊が現れる。白い砂浜に、4つの影がのびた。  ライ、昂士、リオン、ルイ──ルイの腹には、小さな5つの命。     
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