② 体温

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 畳の上に直敷きの布団は──確かに、そういう面がある。  ──背面を怪我しているのに、そんな寝床を与えた僕が短慮だったか…  そこがこの別荘でいちばんの、客用の寝場所だったわけだが──だが、「怪我に障るから、自分のベッドに寝る?」とは、もし時間が戻せたとしても、言わなかっただろう。 「…まぁ、正直、驚いたけど……きみがいいなら、ここで寝る?」  もう、それしか他になかった。 「俺はいいけど、ホントにいいの?」  ライは目を輝かせて──本当に、目がきらっと光った。  ──? 人間の目は、闇の中で光ったりしないぞ…  目に疾病がある時など、特殊な場合のみだ。…だが、ベッドライトが反射しただけかもしれないと、昂士は思い直す。 「昂士さん…?」  不意に、昂士さん、と、呼ばれるのが定着しているのに気づく。高浜先生と呼ばれるのが、正直いまでもぴんとくるが、それではおかしいし、高浜さんと呼ばせるのも微妙だ。自分も、ライと名前で呼んでいる…呼ぶしかないのだから、いいだろう。 「ん、あぁ。…いいよ。どうせ、ムダに広いベッドだから」 「そうなんだよね。デカいベッドに寝てるんだなーって、最初、思った」     
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