プロローグ

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 現に、週刊マンガ誌やゲーム機、充電したバッテリーなどを、ルイを始め他の弟、友だちに、持って来てもらっている。  そして、自分たちが「兄さん」と呼ぶ、村の年上世代からも、ふたり…  自分たちの世代の、古い言い方をすれば『(おさ)』になる男と、子を生む機能を持つ男の中でのリーダー役だった。勿論、差し入れに来るのではない。  面会、というか、説得だ。  ふたりに説得されても、そろそろ入浴や排泄の不便が面倒になり、虫刺されがひどくなっても、ライのまっすぐな意思は曲がることがなかった。…むしろ、この村では、ライの方が曲がっていたかもしれないが。 「どうしても、村を出て、生きてみたいのなら、誰かの子供を生んでからにしろって言われた」  ライはへそを曲げに曲げた顔と声で、そう言い放った。ルイが「えぇっ」と小声ながらも驚く。 「誰かって言ったら、兄さんたちの誰かになって…ライにとっては、それは物凄く、つらいんじゃないの?」  年上の、それも実力者──だけあって威張った性格の者か、逆に、自力では娶ることができない弱者の男が、あてがわれることだろう… それをライが我慢できる筈がない。     
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