プロローグ

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「子供を生むのは一生に一回だ。…それくらい、体に負荷がかかるから。そして、生んでしまったら、体力が落ちたりして、とても外の世界でふつうに生きるのは難しい。…だから、子供を生んだ男たちは、この村で夫に守ってもらいながら、一生を終わるのだ…それを覆したいのなら、生んでから、やってみせろ、と」  (おさ)役の男の口真似をしているな、と、ルイは思いながら聞く。しかし、その話はルイにとっても、他人事ではない。 「村を出るなら子供を生んで──子供を生んだら村を出るのは難しい、か…」 「で、さ。そこまで聞かされたら、もう、本当にこの村を出るしかないって」 「ライ…!」  改心どころか、逆噴射している。…その爆裂する勢いを、自分に、自分たちに、止められるだろうか…? 「だから……ルイ。お願いだ」  ライはそう言って、腕を差し出してきた。色白だが、鍛えられた腕。喧嘩いちばん上等を維持する為、昔から筋トレを欠かさなかったことを、ルイは知っている。  ライは口だけの男ではない。目的の為に、無茶なことをやりもするが、黙々とした努力もするのだ。  だから、逃げる為の準備もしてきている。  そのことに気づかないわけがなかったから、何とかそれを、押し止めようとしていた。  だが… 「ライが逃げるとしたら、もう、いましかないんだね…」 「そうだ。俺は子供を生むことも、この村で一生を終えることも、できない。それはどうしても譲れないんだ」 「もう、突破するしかないんだね…」     
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