プロローグ

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プロローグ

 自分…自分たちを生んだのは、『男』だった。  それは決して誰にも知られてはならないことだと、言い含められて、自分たちは『村』の外に出る。  そうして、秘密を隠し通し、その土地で何百年も生きてきた。  だけども、自分…自分たちの生まれた『村』は、外にある人の世とは、かなり異なっていた。  『村』にいるのは、ほぼ男ばかり。村の男からは、男しか生まれない。  皆、ふつうの男だが、子供を産む為の機能が付いているか、それが正常に作動するかで、子供を産む役目の男は決まる。…自分たちを生んだのは、そういう男たちだった。  子を生み終えたその人は、夫となった相手と、生涯を『村』の中で終える──その人は、それで幸せそうだった。  だが… 「俺は『男』だ。自分にそういう機能が付いてるからって、子供を生むなんて、できない」  18歳…もうじき19になろうとしているライは、少年の面影を投げ捨ててきた顔つきで、そう言った。  その傍にいる男…顔はライとよく似ているが、まだ、幼さを残している。それでいて思慮深さを漂わせていて、ふたりの内面の違いを感じさせた。 「でも、兄さんたちはそれを許してくれない… ライ、どうか冷静になって」     
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