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エピローグ
「タカ君今日も探していくよ~」
「はい、サトウさん!」
もうここにきて何年になるだろう数年前までは絶望し死のうと決意していたはずなのだが、この人のおかげで毎日を何とか生きていこうと思えるようになったそれはここで働いて俺の絶望などたいしたことないのだと気づいたからだ。もう忘れもしないだろうこの人との出会いは。
「高橋君悪いんだけど君はもう必要ないんだよ。」
その言葉が耳を通った時俺は焦りを覚えた。
「ま、待ってください!私には妻とまだ幼い子供がいるんです!」
よくこういうシーンをドラマ見たことがあるが本当にこういったセリフしか出てこないものだ。そんな俺の顔は冷や汗でいっぱいだった。
「そんなこと言ったってね、これは決まったことなんだよ。きみはもう用無し、さあさあ出てった出てった!」
「嫌だ、そんなのってないだろ!冗談じゃない!」
「おい」
部長の鋭くそれでいて冷ややかな目が俺の背筋をぞくっとさせた。
「君は本当に私が冗談を言っていると思うのかね?」
「い、いいえ」
俺の声は震えていた。
「わかったなら、とっととでていけ!用済みのゴミが!」
「は、はい」
俺は肩を落としその部屋から出ていき会社からも出た。これからどうすればいいのだろうかそもそも妻になんと伝えればいいのだろうか。
俺はこの時間に帰るのが怖くなり、ネットカフェで時間を潰し帰ることにした。
そこで時間をつぶしても気が晴れることはなかった。少しは気が晴れると思ったのだが、頭の中はかえって妻にどう説明しようかでいっぱいだった。そんなことをずっと考え帰る時間は夜中になってしまった。
家につき、玄関を開ける、すると、家に知らない靴があったまさか泥棒なのではないかと思い玄関にあったバットを持ち、そっとリビングに入った。
泥棒ではなかった。泥棒ではなかったが私は思わず家を靴も履かずにその場から逃げ出してしまった。
「嘘だろ、嘘だろ!?知らない男と!?一体何なんだよ今日は俺が何をしたってんだよ」
頭がついていかずもうどこに向けていいのかわからない怒りで満たされた。
が、公園のベンチに座ってコーヒーを飲みながら何もない殺風景なそれでいて静かな景色を見て一通り落ち着き頭の整理がついた。
俺は会社に戻った。だが会社に用はない、用があるのは会社のビルの屋上である、せめてそこで自分の人生に花を飾ろうと思いついたのだ。
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