第1章

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 俺は日曜の朝から、映画鑑賞をしていた。どうせ、朝っぱらから雨が降ってるし、それだったらと、ゾンビ映画を見て笑っていた。  俺が住んでるのは四階建てのマンションの一室。  そこの四階にいる。四階は地味に嫌な高さであり、エレベーターもないから疲れた夜は体にこたえる。友人呼んでも若いくせに不便なとこだとブーたれてピンポーンとチャイムが鳴った。  こんな雨の朝っぱらから何だ?  てか、マンションにそうそう来客があるもんじゃないし。  念のため、ドアののぞき穴から来訪者を確かめる。 「あ?」  濡れた女性だった。  黒いワンピースの、長い黒髪の女性。長い髪が邪魔して顔が隠れている。彼女は雨の中ここに来たのか全身びしょ濡れだ。  このとき、ぞくっとしたものを感じた。俺はチェーンと鍵を確認し、居間に行って映画を止めて、再度玄関にもどり、深呼吸しながらのぞき穴をのぞいた。 「………」  誰もいなかった。  ドアを開けて確認するが、誰もいない。――床を見ても、濡れたあともない。 「は……意味わかんね」  いや、いないなら、いいんだ。びしょ濡れの女性が、家の前に。それも、顔を隠してなんてホラー映画そのものだし。  ドアを閉めて中にもどる。  廊下を歩いて居間にもどろうとすると、すべりそうになった。何だ、と壁に手をつけながら叫ぶと、床が濡れていた。
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