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「叔父様はお義母さんのことを愛してらっしゃるのよ。今でも独身なのはそのため。そして、お義母さんも叔父様の気持ちを、充分知っているわ。互いに分かっていて、結婚することもなくいる。言ってみれば「純愛」ね。その話を聞いたときに、ちょっと理解できなかった。そして、その話を私にした義翔さんの考えも、良く分からない。でも、お義母さんはそれでも幸せなんだろうな、ということだけは思った。叔父様が幸せかどうかは分からないけれど」
勝翔は、力強く答えた。
「幸せだと思いますよ。今日も叔父さんと話してきたんですけれど、結婚しなくても愛しているだけでも幸せだといっていました」
それを聞いて、海音は意外だという表情をした。
「勝翔さんは、私のことを愛してくれている? ずうずうしいことに、愛してくれていると信じているんだけど。あなたと出会った日から」
ただ傍にいられるだけで幸せで、告げることのないことのはずの自分の思いを、海音に感じ取られていたことが、恥ずかしかった。嫌悪されているわけでは無いだろうけれど、ついこの間、未亡人になった女性に対して愛を語ることは、あまりに不適切に思えて、勝翔は言い澱む。今まで十年以上、その憧れを抱えてきたのだから、今すぐどうにかなろうとも思わない。
「お義母さんは、叔父様と結婚しなかったことを後悔しているんじゃないかと思うの。だから、私に再婚を勧めたんだと思う」
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