妄想癖

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 しかし、私はおもうのです。  全てを気のせいにすることは、危険ではないかと。  あれらは本当に、私の思い込みによるまぼろしだと、断言できるのでしょうか。  鏡に映ったものも、ふすまの隙間から覗いていたものも、視界の端に見えたものも。    すべて、おなじでした。  あまり細かく言うのは好きではありません。それがどのような見た目をしているかは、ご想像にお任せいたします。  ああ、でも、そうですね。ひとつだけ言うなら、それは無表情でした。  無表情でじっとこちらを見つめてくるものでした。  背後になにかの気配を感じたことがある、あなた。  あなたは、どうですか?  気のせいにすることなく、確認してみたことがありますか?  確認したことがないのなら、一度だけでも、まわりを見てみるといいかもしれません。  私は、手遅れでした。  皆から気のせいだと言われ、気にしないようにしているうちに。  手遅れとなってしまいました。  いまはもう、常に。  横から、覗き込んでくるのです。  あなたは、どうですか?
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