妄想癖

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妄想癖

 思い込みの激しいやつだ、と。よく、そう言われます。  それらは気のせいでしかない、または妄想だと。  私だけではないとおもうのですが、なにかが背後にいるかのような感覚ってありますよね。これに関しては理解していただけるのではないでしょうか。お風呂で髪を洗っているときによくあるものです。  私にとってその気配は、一日に何度も感じるものでした。   もちろん気配だけではありません。  洗面所で手を洗っているときに鏡を見たら、一瞬なにかが映ったとか。  夜中にふと目を覚ましたとき、わずかに開いていたふすまから、なにかがこちらを見ていたとか。  ひとりきりの部屋で読書をしていて、なにげなく顔をあげたとき、視界の端でなにかが動いたとか。  私がそのようなことを言うたびに、まわりの人は皆、またかという顔をします。  そういうものがいると思い込むから、見えた気がするのだと。そう言われてしまいます。  もちろん私は嘘をついているわけではありませんが、彼らの言うこともわかります。  きっと彼らは、いままでそのような体験をしてこなかったのでしょう。
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