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亜美が昨日よりも綺麗になっているのに気づいたが、明らかに俺を意識していて、綺麗になろうと努力しているようだ。酒の飲み方も控え目で、何とか減量しようという姿勢も見えた。
それに、亜美は相変わらず熱い視線を送ってきたが、それに気づくと体が何だか熱くなってくる。香奈枝のことをふと思ったが、考えてみれば、彼女はそんな熱い視線を送ってきたことなどなかった。一緒に食事をしていても、いつも心ここにあらずという感じで、やはり俺には興味なさそうだ。それが亜美といてハッキリと分かる。やはり、香奈枝はあの大里課長との愛だけに生きているのだろう。そんなことを思うと、心から失望した。
「本庄さんはまだその女性のことが忘れられないのね?」
亜美は俺の愛称ではなく、またも本庄さんと呼んだが、そんなところに亜美の真剣さを感じた。俺もここらで真剣に亜美のことを考える必要があるようで、それでないと、亜美まで失ってしまう。そうなると、当分結婚は遠のきそうだ。そろそろ身を固めなければならないのだが、それは亜美の方も同じだろう。
「そんなことはないさ。もうきっぱりと諦めようと思っている」
それは俺の本心だった。亜美はその言葉に嬉しそうに頬を緩めたが、そんな亜美が心から可愛いと思った。
それから、亜美のマンションまで送っていったが、二人は別れ際そっと握手をした。そのとき、亜美が突然胸の中に飛び込んできたので、俺は少し驚いた。でも、しっかりと抱き締めると、亜美は嬉しそうに顔を埋めていた。二人はしばらくの間そうしていたが、やがて少し体を離す。そして、二人はお互いの目を見つめ合ったが、そんな亜美の唇に俺は優しくキスをしていた。
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