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翌日、会社に行き、堀田浩二の勤める会社に電話を入れて堀田を呼び出してもらった。
「本庄なのか。久しぶりじゃないか」懐かしい声が電話口に響いたので、「先輩の会社近くで昼飯でも食べながら、少し相談させていたたきたいことがあるんですが」と申し込んだ。
「いったい何だい?」
「ええ、個人的なことなんですが」
「うん……いいだろう」
堀田はオーケーしたが、十一時頃に『いざむ』というレストランで会うことになった。
堀田の勤める会社は渋谷にあったが、なかなか洒落た和風レストランだった。
「少し痩せたんじゃないのか」
堀田は会う早々心配そうな目を向けたが、堀田の方は逆にかなり恰幅がよくなっていた。二人はしばらく世間話をしてランチを食べたが、「ところで、どんな話だったんだい?」と堀田が水を向けたので、俺はこれまでのことを掻い摘んで話した。
「エエエエ……」
堀田は何度も声を上げて聞いていた。
「それはかなりアブノーマルな話だなあ。大丈夫なのか」
「ええ、何とか正気は保っているつもりなんですが……」
「うん……でも、その話は余りにも異常過ぎる」
「ええ、でも、調べれば調べるほど納得できる状況が分かってきたんです」
俺は徳永早苗が資産を奪い取られ、不審な死を遂げたことを詳しく話した。
「うむ……」
「その土井という人物はかなり疑わしい男で、これは相当信憑性のある話なんですよ……それで、先輩のお兄さんが確か警視庁の刑事だったことを思い出して」
「そういうことか。確かに兄貴は今捜査一課の警部になっているよ」
「そうでしたか」
俺は思わず膝を叩いていた。
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