第 八 章 疑 惑 の 男

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「どう言うかは分からないが、そんなに自信があるのなら、一度当たってみようか」 「ぜひお願いしたいのです。何しろ、下手をすると、かなりヤバイことになりそうなので」 「うむ? でも、もう少しそれを裏付ける証拠が欲しいところだなあ?」 「ええ、そう思って、実は今日、ある人に疑惑のあった神戸の土地について調べに行ってもらってますので、その結果が分かってからでいいのですが……」 「分かった。その結果、もしクロだというのなら、二人で兄貴に会いにいこう」 「はい、お願いします」  俺は何度も頭を下げていた。「でも、本当にその女性の幽霊を見たのか」と堀田は目を剥いていた。 「本当です。全部で四回も見ました。それで、やむなく調べたのですが、やはり思った通りでした。その女性は親から受け継いだ二千坪もの土地を騙し取られ、他殺とも疑われるような死を遂げていたのです」 「何とまあ……」 「とにかく、こうして次々と疑惑が明らかになってきたということなんですよ」 「うむ?」俺の話に堀田は蒼ざめていたが、「やはり悪いことはできないものだなあ」と呟いていた。  その通りで、人を奈落の底に陥れるような手段で伸し上がっていっても、最後には天罰を受けることになるのだ。でも、よく考えてみると、それはまだ分からない。土井一郎のような男にかかると、あらゆる手段で揉み消してしまうのかもしれないのだ。  俺は堀田と別れてから会社に戻り、溜まっていた仕事を次々にこなしていった。とにかく、仕事に穴を開けたりすると忽ち仕事を失ってしまう可能性だってある。そうなると、結婚どころではなくなってしまうのだ。
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