第 九 章 対 決 そ し て プ ロ ポ ー ズ

3/12
前へ
/97ページ
次へ
「ハハハ……君の言っていることは単に状況証拠というやつですよ。何ら証拠価値はないものだ」 「そうでしょうか。そうは思えませんね。手口も同じで、三人の男が同じように亡くなっているのです。もっと調べれば更に増えていくかもしれませんが、一応、これだけの証拠があれば充分と見ています。ですから、今日にでも告発するつもりですが、その前にあなたの弁明をお聞きしたいと思いましてね」 「うむ?」  土井はしばらくの間蒼白な顔で俺を睨んでいたが、 「僕には何ら身に覚えもないことだが、少し時間をくれないか」  と言葉をかけてきた。 「なぜですか。そんなことをしたら、今度は僕の命が危うくなります」 「ハハハ……ハハハ……」  土井は大きな声で笑い転げていたが、「それではこうしょうじゃないか」と目を剥いた。 「……」 「取り敢えず、君の要求額を言ってもらいたい。君もいつまでもサラリーマンを続けるつもりはないだろう?」 「僕を買収しようということですか……」 「どう取ってもらってもいいが……」 「確かに、いつまでもサラリーマンを続けるつもりはありませんが、お金で買収されるつもりもありません」  俺はキッパリと断った。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加