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「ハハハ……君の言っていることは単に状況証拠というやつですよ。何ら証拠価値はないものだ」
「そうでしょうか。そうは思えませんね。手口も同じで、三人の男が同じように亡くなっているのです。もっと調べれば更に増えていくかもしれませんが、一応、これだけの証拠があれば充分と見ています。ですから、今日にでも告発するつもりですが、その前にあなたの弁明をお聞きしたいと思いましてね」
「うむ?」
土井はしばらくの間蒼白な顔で俺を睨んでいたが、
「僕には何ら身に覚えもないことだが、少し時間をくれないか」
と言葉をかけてきた。
「なぜですか。そんなことをしたら、今度は僕の命が危うくなります」
「ハハハ……ハハハ……」
土井は大きな声で笑い転げていたが、「それではこうしょうじゃないか」と目を剥いた。
「……」
「取り敢えず、君の要求額を言ってもらいたい。君もいつまでもサラリーマンを続けるつもりはないだろう?」
「僕を買収しようということですか……」
「どう取ってもらってもいいが……」
「確かに、いつまでもサラリーマンを続けるつもりはありませんが、お金で買収されるつもりもありません」
俺はキッパリと断った。
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