702人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前が記憶を無くすほど飲み倒した理由を知ったからだ。お前、岡崎に話したろ。俺たちの事」
「―――え、私そんなの一言もいってない」
「言ってるんだよ、馬鹿。それで、イチゴの電話じゃ俺が出ないと分かったから、岡崎は自分のスマホからこっちに掛けてきた。お前が登録していた、俺の番号を探して」
なんとなく思い出した。
凛子が私のスマホをいじっている姿を。
あれから私は眠ってしまったんだ。
「でも良かったな、漏らした相手が岡崎で」
「どういう意味?」
「あいつ、上司の俺に向かって説教してきやがった。イチゴを弄ぶのはやめろって」
「えっ、そんなことを?」
「岡崎は、橋本とは違う意味で厄介な女だからな。それで俺も、曖昧な表現は避けて、事実を話した。イチゴとの交際は真剣なものだと強調して」
「………うわ……凛子にバラしちゃったんだ…」
「初めにバラしたのはお前だろ。だが岡崎は、筋を通せば何の問題もない。俺たちの付き合いにも反対はしなかった。勿論この事は誰にも言わないと、あいつから約束してきたしな。今思えば、岡崎だけには、最初から俺たちの間柄を打ち明けておくべきだった。そうすれば、お前がひとりで抱え込む事もなかったし、間違いをおかさずに済んでいた筈だ」
「………間違い?」
「イチゴ。眞島と何をしたか思い出せ」
最初のコメントを投稿しよう!