小さな望み

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「―――――ねぇ、桔平?」 『なんだ?』 「………なんか私、すごく嬉しい。今からワクワクしてるの」 たとえ職場でそれが出来なくても、彼は私の望みを、近いところまで叶えようとしてくれている。 その気持ちだけでも嬉しい。 『……………イチゴ』 「……なに?」 『お前、本当に可愛いな』 笑い混じりに言われた。 「―――それって思考が幼すぎるって意味?」 『そうじゃない。ひねくれた受け取り方をするな。言葉のままだ。―――――イチゴは本当に可愛い女だよ』 台詞の最後は、囁くように優しく言われて、 「………え……あ…」 何と返せばいいのか分からない。 ただ顔が熱くなるだけ。 『弁当のあとは、お前を沢山食べるから、あんまり作りすぎるなよ』 何気にいやらしいことをさらっと言われて、 「…あ……う……うん…」 つい返事しちゃったけど、その夜を想像したら、体まで熱くて堪らなくなった。  
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