小さな望み

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********** 「―――えっ、なに!?」 マンションのエレベーターの中で、桔平がいきなり背後から抱きついてきた。 もちろん二人の他には誰もいない。 「早くイチゴに触れたくて仕方なかった」 「え、でも手は繋いでたでしょ」 「手を握ってるだけじゃ、俺には足りない」 彼の欲望が私の腰に当たっている。 「…………もう…硬いん…だけど…なんで…」 「こうしたいのを我慢してたから」 前に回した手が、胸を揉みしだく。 私の髪をかきよせて、後ろから首筋に口をつける。 彼の息が荒い。 「………んん……あ…」 私の首筋は、もう【くすぐったいゾーン】から卒業していた。 「今すぐにでも、お前を裸にしたい」 低い声。 デパートにいた時とは、まるで別人。 「いっ、いま、こんなとこじゃ」 「イチゴの恥ずかしい姿を、誰にも見せるつもりはないよ」 エレベーターの中には、防犯カメラがついている。 それを知ってるから、彼の愛撫は服の上だけに留まっていた。 12階に到着すると、彼は私の肩を抱いて、早歩きで部屋へと向かった。  
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