小さな望み

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「今日も可愛かったよ、イチゴ」 横に向かい合わせで私の体を抱いたまま、微笑みで見つめて、優しく髪を撫でた。 行為が終わっても、桔平はいつも私の肌に触れていて、初級に戻ったキスを何度もしてくれた。 私も、厚い胸板にキスをする。 今夜は彼もシャワーを浴びていない。 そこに汗がプラスされて、 男の匂いに頬擦りをした。 「いい匂い……桔平の匂い、私、好き」 他の男のなら、絶対に嫌悪するはずの男性臭なのに、桔平のは何故か、香水よりも良い香りに感じてしまう。 私、嗅覚まで変わったのかな。 「そうか?俺もお前の匂い好きだよ。特にナマの匂いが」 「もう……終わったのに、まだえっちなこと言ってるの?」 「何だよ、本当の事だし、お前も嫌いじゃないだろ? いやらしい言葉を囁かれるのは」 「それは……桔平だからだよ。もし他の人に言われたら、気持ち悪くてたぶん吐く」 「……お前、他の男に言わせる状況なんか、絶対につくるなよ」 「え?」 「だから、他の誰ともこういう関係になるなって、言ってるんだ」 背中にあった手が、私の体を自分に押し寄せて、桔平の体にぺったりと張り付けられた。 「飛躍しすぎ、そんなのあるわけないって」 「言い寄られたらどうするんだよ。そんな経験もないだろう?」 「……ないけど」 「お前は可愛いし、最近色気も出てきた、」 「―――えっ? 色気!? どこに!?」 「自分じゃ気付かないだろうが、女らしさが滲み出ている時がある。これからどんどん色っぽくなってくるぞ。そしたら他の奴らが放っておかないだろう」 「……もし、そうだとしても、私は桔平以外の人とこんなこと出来ない。だって私が愛してるのは、桔平だけだもん」
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