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「本当だな? 約束しろよ」
「やだ、なに? 信用してないの?」
「そうじゃない……そうじゃないけど…」
その声は、本気で心配しているように、段々と小さくなった。
桔平には私の知らない過去が沢山ある。
これから未来に進んでいく中で、きっと私は、彼にとって大切な存在なんだろう。
だから彼は珍しく、似合わない弱気な発言をしたんだ。
それだけ私を真剣に愛してくれている。
そう思いたい。
「……私、今日言ったよね? 一度愛した人を裏切ったりしないって。私は桔平の女だよ? これからもずっと。大好きだから」
「……イチゴ。俺もお前を裏切らない。………愛してる……愛してる…」
私の頭を両手で抱えて、彼は呪文のように《愛してる》を繰り返した。
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