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「そんな、気のせいですよ。でも、お世辞でも嬉しい。ありがとうございます」
私はニコッと笑って、さっさとその場を立ち去ろうとした。
桔平と付き合う前の私だったら、男の人にそんな事を言われた瞬間に、真っ赤な顔で硬直してしまって、一言も喋れなかったはず。
私は桔平を愛して、そして愛されて、少し自分に自信を持てるようになった。
でも過剰な自信があるわけじゃない。
心に、ちょびっとだけ余裕が出来たってこと。
「―――待って。お世辞じゃないよ」
引き止められ、体を向き直した。
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